山野いでゆさんの体験談 №15                    .




私の男遍歴



(15) 覆水盆に返らず




 遍路から帰り、何となく、私と羽村さんは又毎週会い、身体を重ね、一

緒に旅行する間になっていた。だが、致命的な棘、瑕疵をそのままにした、

云わば、相手の居ない男同士が妥協で結ばれていた関係なので、所詮、長

続きしなかった。私が車を手離すと、一緒にドライブ旅行も行けなくなり、

私の利用価値が無くなったのが理由かと、今になれさそうも取れた。羽村

さんに『覆水盆に返らず』と、冷たいメッセ-ジを受け取り、もう諦めよ

うと自分に言い聞かせた。それでも写生会からは脱退せず、だが、参加も

成るだけ控えていた。

 Mixiで出会ったのは離婚歴のある、比較的近くに住む男で、自転車でも

行く事が出来た。彼の家を訪問すると一階に父親が寝たきりで、二階が彼

の部屋だった。私は彼の家には泊まった事がないが、彼の家でズボンを下

され、尻を犯されていた。家の人が居るから拙いと言ったが、二階に絶対

上がって来れないから大丈夫だと、彼は構わず、私の尻に腰を打ち付けて

いた。私は行為の音が父親に聞こえないか心配だったが、スリルでもあっ

た。時々、彼も私の家に来て、泊っていた。彼は器用なので、不器用な私

には何かと便利であったが、何度か家に泊まる様になると自ずと遠慮が無

くなり、それが嫌になり、数か月で別れた。

 次に出会ったのは北関東の、やはり離婚歴のある男であった。金がある

のにケチな性格で、神経が細かいのに家はゴミ屋敷然。何度か後ろから尻

を犯され、又、上州の山に行ってはお互いの裸を撮影し合ったが、結局、

彼とは性格が合わず、やはり数か月で別れた。なかなか長続きする男に当

たらなかった。今更、昔みたいに淫乱サウナや乱交宿で男探しをする気に

もならず、又、根暗な性格なので、バ-で誰かを探す技術も持ち合わせて

居なかった。

 一方、私は再び、絵の会に顔出す様になったが、羽村さんの新しい男を

見るのは正直辛かった。自分があれ以来不幸なばかりで、自分が惨めにな

らばかりだった。私の最近の男の不運はきっと、焦り、羽村さんに対する

対抗心だったのかもしれない。そんな折に出会ったのは一歳年上の金井さ

んと言う男であった。彼は年下の男と同棲していたが、どうやらセックス

レスだったらしい。金井さんはある意味コンプレックスの塊みたいな人で、

年下の同棲相手の方が稼ぎが良く(彼は年金暮し)、性器のサイズにも拘

って居る様で、だから私みたいに誰も相手がしない様な男を相手にする事

でコンプレックスを隠していたかもしれない。彼に口説かれた時、自分の

は大きくないから、痛くしないから後ろを使わせてと言われた時、何か物

足りない感じがしない訳でもなかった。

 彼と交際する時は逆らわない限りでは良かった。面倒見は良いし、金払

いも良かったので、金で拗れる事もない。只、絵、音楽、一般教養、服装

センス、趣味の良さなど、自分が何かにつけて一番と思っている節があっ

た。勿論、私は彼から学ぶ事が多くあった。彼は2丁目にも明るく、又、

あちこちにお気に入りのレストランや居酒屋も知って居て、そんな意味で

も私には大いに助かる面が多かった。二人ではそんな気にならなかったが、

共通の知人と一緒の時はカラオケボックスやゲイバ-でマイクを握る事も

多かった。

金井さんの同棲相手には何度も会っているが、私とは肌が合わなかったの

は直感で分かった。私みたいな薄汚い、ガサツな熟年は軽蔑していると視

線で感じるが、こればかりは自分で努力しても簡単には治せない。彼等の

家には、相方が居る時、不在の時に限らずに訪れて居たが、肌を重ねるの

は勿論、相方の不在を狙ってである。セックスレスのカップルでもやはり

秘め事は秘め事。

金井さんとは3年程度の付き合いだったろうか?又しても、壊れる時は簡

単に壊れるもので、しかも、お互いに何かしらの不満を抱えての、誤魔化

しの関係だからそれは仕方ない。金井さんは言わば既婚者みたいなもので、

奥さんの機嫌を伺いながらの外での遊びみたいなもの。しかも、前にも書

いたが、屈折しているので、自分の優位性を表現する為に他人の前で私に

恥を掻かす様な事も何度か有ったし、誰かと一緒だと、私を軽視する様な

事も多く、だから私も彼には全幅の信頼や傾倒を見せなかった。

私がmixiなどで、巨根、巨根と騒いでいるのが見苦しいと言い、又、そん

な文章を見たくもないからと私に断りもなく
mixiの繋がりを切った。それ

で私はこれが最後と思ったのだが、金井さんは私とは全く断絶する気はな

いらしく、共通の知人を仲介し、関係の修復を打診して来たが私は彼の過

去の態度が我慢ならなくなり、そのまま、流れるままに別れる事となった。

金井さんにすれば、私の巨根願望は自分に対する皮肉に思えたのかもしれ

ない。私にして見れば、言わば、オカマの口癖で、ほんの軽い気持ちであ

ったが、反省する点も充分あったと今なら理解出来る。誰だって、自分の

短所の事を、面と向かって言われなくても、気になるものだ。自分も随分

とそれで傷ついて来た筈だ。だが、復縁しても、結局、又、同じ事の繰り

返しになる。愛とは信頼や相互の人格尊重が第一で、相手にだけそれを求

め、非難しても仕方ない。良く、相手は自分の鏡と言う。相手に敵意があ

るのは自分に敵意があるからだ。愛があるなら、相手も愛で応える。だか

ら、一方だけが悪いなど有得ないのではないか。又しても覆水盆に返らず

となってしまった。

金井さんと交際していると同時に私はある熟年とも交流し、彼を金井さん

に紹介した事もある。彼は私よりかなり年上の、超遠距離の人であった。











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