田んぼの玄さん


                                         抱念 さん 


(3)


「ほれ、やってみろ‥」

義孝へ褌を渡した。

 

くるくるスッと褌を解くと、風呂場で見せた玄さんのちんぼがまた踊った。

そんなものを見せつけられたら、義孝のちんぼも勃起せざるを得ない。

 

「やっと勃ったか‥はっははは‥」

玄さんは芯が入った義孝のちんぼを無遠慮に握って、二度三度扱()いた。

 

「おらがもう一回やるで一緒にやってみろ‥」

 

顎に挟んで垂らした晒しでちんぼをくるんでみたが、勃っているから横褌

の位置がどうしたって定まらない。

 

「ちんぼぉ下向けて前袋作る締め方もあるが、こんだけ勃ってりゃ無理だ

な‥ふわッはっはは‥」

 

そうして、玄さんは義孝を姿見の前に立たせて、締めては解き解いてはま

た締めと、何度も何度もやらせた。

玄さんはその間に、冷や酒を酌んだコップを持って来て、姿見に映る義孝

をじっと見ていた。もちろんただ酒の充てにしてるわけはなく、ちょっと

したことだけれど忘れちゃならないコツもちゃんと教えてやった。

 

玄さんは、すぐ横に義正が立っているような気がして、たまらなかった。

 

「やっぱ父ちゃんの血だ‥よく似合うなあ‥、そのまんまでいろよ、おめ

のふんどし観ながら飲みてえからな‥」

玄さんは本当に嬉しそうだった。

 

玄さんは隅っこに置いてある小さいちゃぶ台を引っ張ってくると、お勝手

へ一升びんの酒を取りに行った。

 

「ほれ飲め‥、‥それにしてもなんでまた急にふんどしだっただ‥」

酒を注しながら玄さんが訊いた。

 

「玄さんが締めてるのがかっこよくてさ‥男らしかったし‥、‥それと‥」

義孝は言いよどんだ。

 

「それと、なんだ‥」

玄さんがたたみかけた。

 

「‥それと俺‥玄さんのことが頭から離れなくなっちまったんだよ‥」

小さい声でもじもじした。

 

「ぅん‥義孝、そりゃどうゆうことだ‥、‥ほれっ、もういっぺえ(一杯)

‥」

義孝のコップに酒を足した。

 

すると義孝は思わぬことを口にした。

 

「玄さん、うちの親父とデキてただかい‥

‥俺ね‥見ちまっただよ‥、親父が玄さんにちんぼ吸わしてるのを‥

初めてそれ見たのはもうずっと前だった‥

玄さん、親父のちんぼ吸いながらうっとりしてたね‥、そうしてちんぼ握

って‥おっ勃った自分のちんぼつかんでしごいてた‥

それ見てたら俺もさ‥玄さんと一緒んなってセンズリ扱()きたくて‥」

義孝は飲み干したコップを差しだした。玄さんはそれにいっぱい満たし、

自分のにも入れた。

そしてそれを飲み干すと、玄さんは観念して義孝を見た。

 

「ほうか‥知ってただな‥

あいつが三十七八のころ‥今日のおめと同じだ‥褌の締め方教せえてくれ

って言って来てな‥」

玄さんはひと口飲んで、義孝へ一升瓶の口を向けた。

義孝はコップを空にして、満たしてもらうと、玄さんもまた残りを飲み干

し、並々注いだ。

 

「いつもおらのこと兄ちゃん兄ちゃんて慕ってくれてた‥

‥今日のおめみてに何回もふんどし締め直して練習させてる間、あいつの

ちんぼはずうっと勃ちっぱなしだった‥、そうしておらのことジィッと見

てるだよな‥

そんなあいつ見てたら可愛くてな‥、かわいくなっちまっただよ‥、おら

がいてやらにゃいけねって‥そんな風に思っちまってな‥」

玄さんはちゃぶ台の上に目を落とした。

 

「義孝、おらのことが好きか‥」

顔を上げた玄さんがずばり訊く。

 

「うん‥玄さんのこと俺好きだよ‥」

素直にかえした。

 

「じゃあ、おらを抱け‥」

 

「玄さん‥」

うるむ目ですがった。

 

「こっちぃ来い‥」

そう言われた義孝は立ち上がった。

 

立ち上がった義孝の褌が弓なりに盛り上がって、鈴口あたりに白露が浮い

ている。そうして玄さんのあぐらに跨がった。

玄さんが義孝の目を覗き込むと、義孝はその力に射竦められた。

 

「義孝、好きなようにしていいぞ‥」

玄さんは目をつぶった。

しかし、義孝はどうしていいか分からずに、ただ玄さんの体をなぜている

だけだった。

 

なにもしてこない義孝に、ハッとした玄さんは、大きな眼(まなこ)を開け

る。

そしてその途端、玄さんの目を見た義孝に、安堵の表情がぽっと浮かんだ。 

 

「どうした‥」

義孝はじいっと玄さんを見つめている。

それを見つめ返した玄さんは、ぐいと抱き寄せ、義孝の口に自分の口を重

ねた。

唇を重ね合わすと、義孝はその口を吸いだした。チュゥチュゥ音をたて、

貪るように吸った。

 

堰を切った義孝はめくら滅法玄さんの口を食う。

男の愛し方を知らない義孝は‥いや、女も知らない義孝は、玄さんに抱か

れて、初めて人を愛した。



                                                続 く 







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