(注)この話は「二つの愛」の続編のつもりで書きました。        .



追 想


北南さん 作

第一章 プロローグ

 

〔1〕目覚め



夜中にふと目覚めた。

豆電球の薄明かりの中で眼をこらすと、隣の布団の中には、こちらを向い

た昭子が規則正しい静かな寝息を立てている。

うっすらと紅をひいてはいるが、年齢(トシ)には適わない。めだち始めた小

じわが見え隠れしている寝化粧姿を、ぼんやり見ているうちに正気になっ

て来た。

 

わずかにゆるんだ唇の隙間が、わしを挑発しているようだ。

可愛い!思わずのしかかっていこうとしたが、夕べのことを思い出して止

めた。

 

 

昨日は彼女の古希を5人の子供たちが祝ってくれたんだ。孫たちも数える

と20人以上、エーと何人だったかなあ?

そうだ、わしは調子に乗って飲みすぎて長女にやんわりとお説教されたん

だっけ。

 

小生意気に『もっと母さんを労われ』だって?ハイハイ、愛する我が妻だ

もの、いつも労わっていますよーだ。エヘヘヘッ。

でも最近はとんとご無沙汰していたんだよな。この前やったのはいつだっ

たっけ?

 

『そんなに飲んで酔っ払ってたら母さんがかわいそうよ。少しは面倒を見

て上げなさいよ』だって?よく言ってくれるよな。

お前の言うように、確かに少し間を空けすぎたよな?

よーし、久しぶりじゃ。今夜は70歳の誕生日の思い出に一つじっくり可

愛がってやるかと思ったんじゃがのう。酔いつぶれちゃったんじゃ。ウフ

フフッ。

でも、5人の子供たちが、家族ぐるみ仲良くやってくれてるのはいいなあ。

わしらは幸せ者って言うことかな?

 

まてよ、そのあとどうしたっけ?酔っ払って隠居屋に担ぎ込まれたんだよ

なあ。

わしが少しくらい重くたって、あのでかい4人の息子が取り付いたら、ど

うってことないものなあ。エーとそれからどうしたんだっけ?

少しずつ記憶が甦ってきた。

 

 

布団を敷いて寝かしつけてくれようとした妻に抱き着いたのだ。

「おい、たまにはいいだろう?あの娘()のいう通りじゃ、大分ご無沙汰し

ちゃってたよな。すまなかったのう。

今夜は気分が乗ってるんだ、ちょっと頼むよ……」

 

「あなた何をおっしゃっているの?こんなに酔っ払っているのに……。

もうお年齢でしょう?そんなこと無理よ、できるはずないわよ」

「大丈夫、わしにはあれがあるからさあ、この間松見叔父が韓国土産だっ

て持ってきてくれたのがあるだろう。

あの爺さんも、90近くにもなって、まだわしに抱かれたいんだから、好

き者だよな」

 

「ちょっとあんた!嫌らしいわねえ、あなた私の前で何をおっしゃってい

るの?

私あなたの妻よ、奥さんよ!」

「あっ、ごめんごめん。そうだったよなあ。まあ、そんなことどうでもい

いから早くやらせてくれよ」

 

「残念ねえ、私もう無理よ。あなたが男衆のお尻ばかりを追い掛け廻して

私を相手にしてくれなかったから、もう蜘蛛の巣が張ってしまったわよ。

それに、騒ぐと母屋に居る子どもたちに気付かれますよ!

見られたら、いい年齢をして恥ずかしいでしょう?」

 

そうだったよなあ。あーだ、こーだ言っているうちに酔いつぶれて寝てし

まったんだ。

それにしても『蜘蛛の巣が張る』ってのはどういうことなんだろう。

長いことご無沙汰してたから、婆さんの孔が縮まっちゃって、わしのでか

摩羅が入らなくなったってことかなあ。

 

年寄りの尻孔は緩むって言うのに、女の持ち物は鍛えていないと閉じちゃ

うのかなあ。そんなバカな!

婆さんわしをおちょくったな。

そう思ったとたん若かりしころのことが思い出されてきた。

 

 

「それにしても若いころは良かったのう。バイアグラなんて使わなくたっ

て、やりたいときにわしのチンボコは何時でもおっ勃ったんだから……。

婆さんを、わしのこのお道具で突きまわして、ヒイヒイ善がり鳴かしたも

のなあ。

 

もっとも、バイアグラなんてもの、あの時代にはまだなかったっけ。

昭子も、口にこそ出さなかったけれど、わしの気持を男衆から自分のほう

へ向かせるために、わしの求めには何でも応じてくれたっけ。

 

しゃぶれっていえば、このでかいのを無理して銜えて、えずきながらしゃ

ぶってくれたし、実
(サネ)を舐めてやれば、身を捩らせて喘ぎまくったんだ

から……。

四十八手だなんていって、いろいろの体位で繋がりあったんだよのう」

なんて思っているうちに、いつの間にかまた眠ってしまっていた。



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