築地の親爺たち


                                         抱念 さん 


第十三話〜デュオ



勇と誠が激しい肉弾戦を繰り広げている間、佐三と嘉輔はじぃッと抱き合

って、ずうッと口を吸っていた。嘉輔は誠との一戦を終えて真っ裸のまま

だったけれど、佐三は皺くちゃの藍染め越中がまだ辛うじて腰にぶら下が

っている。

 

そんなにいつまでも口づけしていたのは、嘉輔も佐三もそれだけで満たさ

れてしまうほどキッスが好きだったからだ。その意味では二人の相性はこ

の上も無く好い。

 

チュッチュチュッチュ‥

唇を吸う軽快な音。

 

チュッチュウッチュウ‥

上唇下唇を吸って引っ張る。

 

そして今度は舌を吸い絡ませて、唾液をまとったベロの上をすべらせる。

滑らかなすべりが心地よく、それだけでちんぽに芯が入った。

 

んチュッ‥

また唇を吸った。

そうして粘る口づけでじっくりまったり‥

 

歯茎を舌でこすり合うと佐三も嘉輔も辺りはばからずよがり声を上げてエ

ラい騒ぎになった。

 

「ンああぁ‥あッぅおッぅオッォォォォ‥」

 

「ゥんンああぁ‥アアァァァァ‥」

 

甘美な二重唱は、佐三がしぼるように唸るバスバリトンなら、嘉輔は喉を

ころがすコロラトゥーラテナーだ。

こうして親爺ふたりの狂い艶めく競演が続く。

 

 

勇は佐三と契り、佐三だけに操を立てて、これまできたが、それを頑なに

守り抜くことこそが男の矜持と心得る昔気質の男である。しかし誠とこう

いうことになって、それを綯い交ぜにしてしまったという負い目がどこか

にあったけれど、目の前の佐三の狂態を見て、やっといくらか気が楽にな

った。

 

その一方、二人の淫らな声のおかげで若い誠の胸にはざわざわと波が立ち

はじめていた。いっときは淡い恋心を抱いた佐三が、今しがた自分と愛し

合ったばかりの嘉輔と相和し、歓喜の声を上げている。そしてそれに負け

じと嘉輔までよがり声を‥。さっき愛し合ったのは夢だったのか、それと

もまぼろし。そう思ってしまうほど、嫉妬という黒い雲が誠に覆い被さる。

そして誠は誰もいない海へ放り投げられた。その荒海でもがいて苦しみ、

それではじめて自分の業の深さを、未熟さ至らなさを思い知らされた。

 

誠がヤキモチを焼くのはまだ若い証拠だ。イヤ、年は関係ないのかも知れ

ない。もしかしたら一途に真面目な所為かも。

その意味では勇もおんなじだ。

佐三に「楽しめばいいんだよ‥」と言われても、どうしても裏切っている

ような気がしたのだから‥。

 

 

嘉輔と佐三は声を上げ口を舐め合っていたが、ふたりは相前後して手を伸

ばし、相手のちんぽの在処を探ぐった。強張ったちんぽに触れ、グイとつ

かみ握ると、それであたかも相手の心までも鷲掴みしたような心持ちにな

り、二人とも心が満たされる。おおげさかも知れないけれども、ふたりは

(しん)からそう思った。

 

「嘉ァさん、やっぱり若いなぁ‥」

さも嬉しげに佐三が言った。

 

「なぁに、佐ァさんだって‥わしのこたぁ言えやせんでしょ‥ふぁッハハ

ハ‥」

嘉輔が笑い声をあげた。

 

「チュッ‥」

佐三はちんぽは握ったまま、もう片方の手で嘉輔の首を引き寄せると、ま

た口に吸いついた。

 

その口づけを待ってましたとばかりに、嘉輔は佐三の腰を抱いて、乳首を

摘んだ。

 

「んぐッ‥」

キスしたままの喉の奥から震えた声がしたのと同時に、佐三がビクンと跳

ねた。

 

(思ったとおりじゃ‥)

佐三の乳首を見た時嘉輔はもうすでに察していた。

鍋でグツグツ火を入れて、艶を落としたあずき豆のような、その大粒の乳

首を今度は人差し指と親指でコリコリする。

 

「あっアぁぁぁ‥ンあっ、ぅうんゥゥゥ‥」

思いもかけない声だった。佐三は眉間に皺を寄せて切なそうな顔をする。

そうして鼻にかかった大きな声を上げながら、逃れるよに体を捩った。

 

そして嘉輔が芯をつぶした。

 

「ぐあッ‥ア゛ァァァァァ‥」

その声は佐三が胸を絞って出した雄叫び‥のけぞって天を仰ぎ、喘ぎあえ

いで二度三度とのど仏を上下させた。

 

「痛とうしてすまなんだなぁ‥佐ァさんが感じとるから‥もっと気持ち良

うしてやろうと思うて‥」

屈託なくほほ笑みながら、嘉輔はさらりと言い退けた。

 

佐三は嘉輔にしがみついて口に吸いつき舌を思い切り吸った。

 

「ぅうーーン‥」

嘉輔は佐三の胸を押して突き放そうとした。

 

「ごめん嘉ァさん‥、‥其処ダメなんだ‥、そこやられたら俺もう‥」

そう言いながらまた嘉輔の口に吸いついた。そうして舌を絡め唾液を吸っ

て、嘉輔に甘える。

嘉輔は手櫛を差すようにうしろから佐三の銀髪に指を絡ませ、抱き寄せた。

 

「あぁ佐ァさん‥あんたはかわいい人じゃのぉ‥、年上に失礼じゃが‥ほ

いでもわしはどうしても佐ァさんがかわいいんじゃ‥」

佐三の頭を強くいだいた。

 

そうして掌中でますますいきり勃つ、筋張ってスラリと長い佐三に嘉輔が

むしゃぶりつくと、佐三もまた小柄男のデカ魔羅に食らいついた。尺八相

舐め、のどを突き破らんばかりの勢いだ。

 

「んグゎッあッぁぁ‥」

ぐちゅッぐちゅッ‥チュパっチュパっ‥ズリュっズリュっ‥

 

「ぅヲッォおぉぉぉ‥」

ジュルっジュルっ‥ぴッちゅぴッちゅ‥んチュっチュっ‥

 

ちんぽを喰らい淫らな音たてて尺八を吹く。

本能まるだしの親爺たちはずぶずぶと深みへ堕ちて逝くのだった。



                                                続 く 







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