夕日丘


                                         夕凪さん 



その60 日曜日



二人が部屋に戻ると、紫村さんはまだ布団の上に寝ていた。

両足を掛け布団の上に出して、下半身も丸見えであった。

豊は秀介がどんな反応を示すか気になった。

秀介は部屋に入ったときに紫村さんの寝ている姿に一瞬、ギョッとした。

しかし、振り向いた豊の微笑んでいる顔に勇気づけられたのか、紫村さん

の下半身に近づき、白い毛が多目の陰毛の中のチンポを指で探りだし、豊

のほうを振り返って、にっこりと笑った。

やっぱり男と言うのは何歳になっても人の持ち物のサイズが気になるんだ

ろうか?

その時、紫村さんが目を開けたので、秀介は急いで手を引っ込めて、「お

はようございます」といった。

「あ、皆さん、おはようございます」と言って紫村さんも布団に起き上が

り、みんなの視線が自分の下半身に行っているのを察知して、慌てて自分

の下半身を寝間着で隠した。

豊と秀介は笑って紫村さんに朝食の準備ができているので、食べに行きま

せんかと言って話題をそらせた。

紫村さんが準備をしている間に、豊が布団を片付けると、秀介はみんなの

ためにお茶の準備をして、廊下にあるテーブルの上に並べ、テレビをつけ

た。

テレビではニュースをしており、秀介が椅子に座って、お茶を飲みながら

テレビを見ているので、豊もそのそばに座り、お茶を飲んだ。

紫村さんが、部屋にある洗面所で顔を洗っているのをみながら、豊は秀介

の背中をさするようにして愛撫をしてあげた。秀介は目を瞑り、かすかな

喜びのため息をつきながら豊に体をゆだねた。

秀介は本当にこの瞬間を幸せだと思った。

そして、こんな気分を最後に味わったのは言ったいいつだっだろうかと回

想しながら、大きなため息をついた。

「秀介さん、いったいどうしたの?大きなため息などついて・・・」

「いえね、幸せだなーーって、今、感じているんです」

「ふーん」

「ね、豊」と秀介は豊の顔を見て言った。

「なーに」とそんな秀介に驚いて豊は尋ねた。

「又つれてきてくれるかな?」

「もちろん」

「あ、あ、ありがと・・」と豊の返事を聞いて秀介は涙ぐんでお礼を言っ

た。

「いやだな、秀介さんはこのごろ涙もろくなって・・・」と豊もそんな秀

介を守ってあげたいと思った。

ニュースが終わった頃に、タオルで顔を拭きながら、紫村さんが部屋に入

ってきたので、豊は目立たないようにゆっくりと赤部さんを愛撫していた

手をしたに下ろして、テーブルのお茶をもう一方の手で取った。

「食事の前に一風呂どうですか?」と紫村さんが豊を誘った。

「ええ、そうしたいんですが、僕も、赤部さんも貴方がぐっすり寝ている

間に、一風呂浴びたんですよ」

「え?そんな・・・、どうして起こしてくれなかったんですか?ひどいな

!」

「だって、紫村さんはいびきをかきながら、ぐっすり寝ているのをどうし

て起こせますか・・・。私だったら、腹を立てますね、起こされたら・・

・」と言って秀介は豊のお尻をつねった。

「うっ、そ、そうですよ、紫村さん・・・」と豊は言った。

「とても、おくたびれでしたからね・・・」と意味ありげに強調して、赤

部さんは紫村さんの顔を覗き込んで言った。

「そ、そうですか、それはどうも・・・。じゃ、お食事に」と言って、自

分から部屋を出て行った。

そんな慌てる姿をみて、豊も秀介も笑い、秀介はそっと豊の手を掴んで立

ち上った。

部屋の鍵を手にし、前を歩く秀介を後ろからやさしく抱いて、首筋に豊は

唇を這わせて、耳元で、「僕、秀介さんが大好き」と囁いた。

その豊の声を耳元で快く聞きながら、秀介は体が小刻みに震え、感激と喜

びが全身を駆け巡ると言う思いもしない満足感を味わった。

部屋に鍵をかけ、手をつないで階段を二人は下りた。

食堂へ行くと、紫村さんは立ち上って、二人を迎えた。

「さ、ここへどうぞ」

「あれ、今日はかなりの人が朝食を食べるんですね・・・、僕達だけかと

思ったけど」と豊は沢山の朝食が準備されているのを見て驚いて言った。

「へえ、それにしては静かだったですね、夕べは・・・」と赤部さんも言

った。

「多分、別棟に宿泊したんじゃないかな?」

「へえ、別棟なんてあるんですか、この旅館」と赤部さんはその大きさに

感嘆した声を出して、椅子に座った。

豊も、「それは知らなかったな・・・」と言いながら椅子に座った。

朝食は前とメニューが変わっていた。

「おいしいですね・・・」と夢中で食べていた赤部さんが一息ついていっ

た。

「よかった、ここはお風呂だけじゃなくって、食事も結構いけるんですよ

ね」と豊がいうと、「そうなんですよね・・・」と紫村さんも箸を休めて

いった。



                                                    続 く 







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