夕日丘


                                         夕凪さん 



その61 日曜日の午後



朝食を終えた三人は、午前中に街に着くバスに乗ることにした。

紫村さんは朝食の後、もう一度お風呂に入ることを主張したが、豊も赤部

さんも、おなかが一杯になって、何もしたくなくなったので、無性に街に

帰りたくなっていた。

紫村さんはぶつぶつ言いながらもしぶしぶみんなと同じように、出発の準

備をした。

帰りのバスが出発すると、3人は申し合わせたように居眠りをし始めた。

紫村さんに悪かったが、豊は秀介と一緒の列に座り、通路を置いて、紫村

さんが座った。

紫村さんは夕べのことで満足したのか、赤部さんに対してとても鷹揚であ

り、親切であった。

ふと豊が目を開けると、紫村さんはかすかないびきをかいて寝ており、秀

介も豊の手に自分の手を絡ませて寝ていた。

次に目がさめたときは、バスターミナルに着いており、乗客がおり始めて

いた。豊は驚いて、二人の老人を起した。

目を覚ました紫村さんは驚いて、「しまったわい、手前のバス停で降りれ

ばよかったのに・・・」とつぶやいた。

眠気の残った体を引きずりながら三人はバスを降りた。

「紫村さん、これからどうします?」と豊がたずねた。

「本当はいっしょにいたいけど、どうも、くたびれが取れないので、この

まま、タクシーで帰ります」と言った。

「じゃ、僕達も・・・」と言って豊は赤部さんの荷物を持って、紫村さん

の荷物も抱えて、タクシーの乗り場へ歩きだした。

紫村さんを見送った二人は次のタクシーに乗り込んで、豊のアパートへ向

かった。

アパートに着くと、二人は体を引きずるようにして階段を上った。

鍵を開け家に入ると、すぐにドアーに鍵をかけた。

豊は荷物を玄関に置いたまま部屋に上がり布団を引いた。

「おじいちゃん、僕、もう眠くて」と言いながら服を脱ぎ、ズボンも脱ぎ

捨てて、倒れこむように布団にもぐりこんで、眠りの世界へ旅立った。

ふと体に異常を感じて豊は目を覚ました。

なんと、秀介が豊のトランクスを下ろして、チンポを口に含んでいるので

ある。

「お、おじいちゃん、どうしたの?」と豊が驚いて言った。

「いや、おなかがすいたので、豊を起そうと思ったんだけど、同じ起すの

なら、このようにしたほうがいいのじゃないかなと思って」と口からチン

ポを離してにっこり笑いながら言った。

「まったく・・・」と豊も笑いながら言って、秀介を自分の方に抱き寄せ

てやさしくキスをしてあげた。

そのあと、二人は服を着て、洗面を済ませ、駅の近くにあるファミリーレ

ストランへ行くことにした。

秀介は着替えの入ったバッグを持って豊の後から外へ出た。

レストランは日曜日の夕方とあって、大変込んでいた。

豊と秀介は15分ほど待たされたが、お気に入りの窓際に席を見つけること

ができて満足であった。

「ね、おじいちゃん、何食べる?」とメニューを見ながら豊は秀介にたず

ねた。

「うん、そうだな・・・、ここにないな」と残念そうに言った。

「え?」と豊は驚いて言った。

「じゃ、ほかの店に行こうか?」

「どこへいったも、わしの食べたいのは売っていないよ」とお爺ちゃんが

言った。

「え?ネ、いったいおじいちゃんは何が食べたいの?」と豊は尋ねた。

「おまえ」とお爺ちゃんはほほ笑んで言った。

「え、おまえって、初めて聞くけど、どんな料理?」と豊は尋ねた。

「ゆたかという男さ」とお爺ちゃんは笑って言った。

「なんだ!もう、冗談言っている場合じゃないんだから」と豊は声を大き

くして言った。

「何でもいいよ・・・」とお爺ちゃんは笑顔で答えた。

「わかった、じゃ、僕が決めるからね」と言って豊はウエイトレスが来る

のを待った。

おなかが一杯になったところで、豊は秀介をホームに送っていくことにし

た。秀介は豊に手を引かれて歩くことがとても嬉しいらしく、ニコニコと

笑いながら、バス停に向かった。



                                                    続 く 







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